きりん通信7月号/2018年 №35 ♦人間は、優れた仕事をするためには、自分一人でやるよりも、他人の助けを借りるほうが良いものだと悟ったとき、偉大なる成長を遂げる。

【人間は、優れた仕事をするためには、自分一人でやるよりも、他人の助けを借りるほうが良いものだと悟ったとき、偉大なる成長を遂げる。】

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きりん通信2018年7月号

2018年きりん通信NO.35(おもて)
重要判例です! 非正規社員と正社員の待遇格差訴訟 最高裁の初判断
非正規社員と正社員との労働条件の不合理な格差を禁じた労働契約法20条について争われた2件の訴訟について、平成30 年6月1日に、最高裁判所(最高裁)が判決を下しました。同条について最高裁が判断を示すのは初めてということで、注目を集めていました。2つの事件とその判決の概要は次のとおりです。
2つの事件とその判決の概要
1.ハマキョウレックス事件(未払賃金等支払請求事件)について
契約社員の運転手が「各種諸手当が、正社員にのみ支給されるのは不当だ」
という訴え・・・ 
●一審の地裁の判決(平成27年月)・・・通勤手当の格差のみ不合理と判断
●二審の高裁の判決(平成28年7月)・・・無事故手当・給食手当・作業手当の格差も不合理と判断
●最高裁の判決(平成30年6月)・・・・・1審2審の4つの手当に加え、皆勤手当の格差も「不合理」と判断 
(合理的とする高裁判決は破棄し、事実関係を精査するため同高裁に差し戻し)。 
一方、住宅手当については、正社員と契約社員の間に転勤の有無など差があることを踏まえ、契約社員に支給しないの
は「不合理といえない」と原告の訴えを退けた。 
2.長澤運輸事件(地位確認等請求事件) 
定年後に再雇用された運転手3人が、「定年前と同じ仕事なのに給与が引き下げられたのは不当だ
」 
という訴え・・・ 
●一審の地裁の判決(平成28年5月)・・・再雇用制度を賃金コスト圧縮手段に用いるのは正当ではないと判断
●二審の高裁の判決(平成28年11月)・・・賃下げは社会的に容認されていると指摘し、正当と判断 
●最高裁の判決では(平成30年6月)・・・大半の手当については、格差は「不合理ではない」と判断 
基本給・歩合給・職務給・住宅手当・家族手当・役付手当・賞与については正当と判断 
( 精勤手当については「相違は不合理である」と支払いを命じ、超勤手当については、高裁に差し戻した)
正社員と非正規社員の賃金格差が不合理かどうかは、「賃金総額の比較のみではなく、賃金項目の趣旨を個別に考慮すべき」
とする判断を示した。 
★ 定年後の再雇用については、定年前の賃金から20%程度を減額することは許容されるといった結果になりました。これに
胸をなでおろす企業も多いようですが、これは最低限度の対応といったところです。
【労働契約法20条とは?】 
「同一労働同一賃金」の原則を唱える法律です。 
業務内容や能力などの合理的な理由がなく、単に「正社員」「有期契約社員」「派遣社員」 
といった身分のみによる、不合理な理由の賃金格差を禁じる法律です。
2018年きりん通信NO.35(うら)
中小企業等における生産性向上の取り組みをまとめた 2冊の事例集を公表 (厚労省) 
厚生労働省は、中小企業・小規模事業者の賃金引上げを図るため、生産性向上の取り組みをまとめた2冊の事例集を作成し、公表しました。そのうちの1冊は、飲食業、宿泊業など「生活衛生関係営業」の企業に特化した、初めての事例集だということです。生産性向上のヒントが見つかるかもしれません。事例集の概要は次のとおりです。
【事例集①】 
『生活衛生関係営業 生産性・収益力向上の取組事例集~賃金引上げのヒント~』 
⇒ この事例集では、中小企業等経営強化法に基づく「経営力向上計画」の認定を受け、
現在、収益力の向上に取り組んでいる企業が実施した業務効率化などの事例を紹介。 
生活衛生業のうち、特に、飲食業、宿泊業、洗濯業、理美容業の事例を掲載。 
<事例の例:飲食業> 
●スマートフォンで確認できる動画マニュアルを導入。 
●これによって、作業工程が標準化し、新規アルバイトの育成が5日程度に短縮。 
●作業工程の標準化や経営分析ソフトの導入によって、営業利益が1%程度増加。
【事例集②】 
『生産性向上の事例集~最低賃金の引上げに向けて~』 
⇒ この事例集では、業務改善助成金*の活用事例をもとに、業務の効率化や働き方の見直しなどを行って生産性の向上を実
現し、賃金の引き上げを行った中小企業・小規模事業者の事例を掲載。 
*業務改善助成金……中小企業等の生産性向上を支援し、事業場内で最も低い賃金の引上げを図るための助成金。 
生産性向上のための設備投資やサービスの利用などを行い、業務効率を上げることで、事業場内最低賃金を 
一定額以上引上げた場合、その設備投資などにかかった費用の一部を助成。 
<事例の例:行政書士・社会保険労務士業> 
●顧客データ管理をクラウド化し、給与計算システムを導入により、管理業務の効率化を達成。 
●1人の従業員の時間給(事業場内最低賃金)を50円引上げ。事業場内最低賃金以外の従業員の時間給も一律50円引上げ。
→業務改善助成金を受給。 
★ 事例が紹介されている業種は限られていますが、業種を問わず、生産性向上のヒントは見つかると思います。ちなみに、
上記でも取り上げましたが、私どもの業種の事例も掲載されていました。 
なお、業務改善助成金については、事業場内最低賃金が1,000円未満の中小企業・小規模事業者を支給対象とするものです
が、業種の要件はありません。助成金の内容も含め、詳しく知りたいときは、気軽にお声かけください。
◆偉人の名言◆ 人間は、優れた仕事をするためには、自分一人でやるよりも、他人の助けを借りるほうが良いものだ
と悟ったとき、偉大なる成長を遂げる。~~アンドリュー・カーネギー~~1885-1900「鋼鉄王」と称されたアメリカの実業家 
これまで当事務所は、士(サムライ)私1人で走り続けました。お気付きの方も多いかと思いますが、最近の交付書
類にパンチ穴を開ける時間を節約せざるを得ない状況、申し訳なく思っています。「あれもこれも」と思いばかり募り、
どうにも時間が足りなくなっていました。解決策は・・・ 
きりんの理念を共有できるチームを作ります。仕事の時間に「節約」を用いては本末転倒。効率化はどんどん進めま
すが、節約は税金だけ。きりんの理念を浸透した、想いが一丸となれるきりん族育成に今、力を入れています(^^)