未成年を雇うときの注意事項はありますか?

活気あふれる若手建設業の社長様からのご質問です。

中学校を卒業したばかりの方の採用を決めたとのこと。

20名を超える職人さんを常時抱える活気のある企業で、女性の職人さんも元気に働いていらっしゃいます。

早速、未成年の雇用についてお答えします。

労働基準法には未成年の雇用について、いくつかのルールが定められています。

中学校卒業前を「児童」

中学校卒業後満18歳未満を「年少者」

満二十歳未満を「未成年者」

と定義しています。

「児童」を働かせてはいけないというのが大原則です。

子役の俳優さんなどの例外が認められている事は皆さんも聞いたことがあるのではないでしょうか?

例外は別として、中学校卒業前の方に労働させてはいけません。

義務教育を終えた18歳未満の「年少者」はどうでしょう?

年少者を雇用することはもちろんOKです。

但し、

18歳未満の年少者を採用するときは、戸籍証明書(本籍地の記載のない住民票記載事項証明書)を確認

し、会社に保管する必要があります。

現在は行政指導により、本籍地の分かる戸籍謄本などを求めない事とされていますので、戸籍謄本や住民票ではなく、住民票記載事項証明書で確認するようにしましょう。

満18歳を過ぎれば、未成年であっても大人と同様です。

結婚も出来る年ですね!働けなくては大変です。国も若者の雇用については色々とバックアップする制度を設けています。

18歳以上の未成年者に対する特別なルールは、労働基準法第58条 「未成年者に不利益な労働契約であると認める場合には、親権者が労働契約を解除することが出来る」というものがあります。

労働契約の解除は出来ることがありますが、親権者が子供の代わりに労働契約を締結することは禁止されています。

中学校を卒業していれば、労働契約を結ぶことが出来る、という事が分かったと思いますが、雇った後の注意事項についてお話します。

18歳未満の年少者雇用にはいつくつかの特別なルールがあります

 1.時間外労働

18歳未満の社員には、残業・休日勤務をさせてはいけません。

1ヶ月単位の変形労働時間制、フレックスタイム制、1年単位の変形労働時間制、1ヶ月単位の変形労働時間制を適用できません。また、36協定を締結していても1週40時間、1日8時間を超えて働かせること、法定休日に働かせることはできません。

2.深夜労働

18歳未満の社員には、深夜労働をさせてはいけません。

18歳未満の社員を午後10時から午前5時の時間帯に働かせてはいけません。ただし、16歳以上の男性社員を交代制で働かせることは認められます。

※農林水産業などの業務については例外として認められます。

3.有害業務の制限

18歳未満の社員には、有害な業務を行わせてはいけません。

具体的な業務の範囲は厚生労働省令で決めることとします。

クレーンの運転、重量物を取り扱う業務などが有害業務にあたりますので、ご質問を下さった建設業では、注意が必要となります。

※1 危険有害業務の就業制限又は禁止業務(例示)
・重量物の取扱い業務
・運転中の機械等の掃除、検査、修理等の業務
・ボイラー、クレーン、2トン以上の大型トラック等の運転又は取扱いの業務
・深さが5メートル以上の地穴又は土砂崩壊のおそれのある場所における業務
・高さが5メートル以上で墜落のおそれのある場所における業務
・足場の組立等の業務
・大型丸のこ盤又は大型帯のこ盤に木材を送給する業務
・感電の危険性が高い業務
・有害物又は危険物を取り扱う業務
・著しくじんあい等を飛散する場所、又は有害物のガス、蒸気若しくは粉じん等を飛散する 場所又は有害放射線にさらされる場所における業務
・著しく高温若しくは低温な場所又は異常気圧の場所における業務
・酒席に侍する業務
・特殊の遊興的接客業(バー、キャバレー、クラブ等)における業務
・坑内における労働等

労働基準法には罰則規定があり、18歳未満の方を有害業務に就かせると、6ヶ月以下の懲役、30万円以下の罰金刑となる可能性があります。具体的に心配な点がありましたら、お問い合わせ下さい。

リーフレット

労働基準法における年齢区分と保護規定適用の範囲

https://jsite.mhlw.go.jp/shizuoka-roudoukyoku/content/contents/001307499.pdf