子供の国民年金保険料を親が払うケース
生計を一にする子供の国民年金保険料は所得控除可能
年金保険料は所得税や住民税における「社会保険料控除」として100%控除されます。
生計を一にする親族であれば、国民年金保険料は払った人の所得控除として申告することが認められます。これは自分の子供の国民年金保険料なら親が払って、その分を親の所得控除とすることができるという意味になります。
ちなみに、代わりに払ってもいい年収の上限などはありません。本来は自分自身で払うのが好ましいのでしょうが、子供に所得があったとしても親が代わりに払うことができます。
所得控除というのは税金の計算をする所得からその分を差し引くことができるというものです。仮に年間に10万円の国民年金保険料を払っていれば10万円を所得から差し引くことができるわけです。所得税+住民税で30%の税率が課せられている方ならそれで3万円分の税金を安くすることができるわけです。
年金は親が代わりに払うほうがお得な理由
さて、国民年金保険料を除外したときの子供の年間の所得が100万円、親の年間所得が500万円だとしましょう。平成28年の所得税率は下記の通りです。
195万円以下 | 5% |
195万円超330万円以下 | 10% |
330万円超695万円以下 | 20% |
695万円超900万円以下 | 23% |
900万円超1800万円以下 | 33% |
1800万円超4000万円以下 | 40% |
4000万円超 | 45% |
上記は所得税率です。さらに別途10%の住民税がかかります。
ここに当てはめると、平成28年の国民年金保険料は1年分前納で191,030円になります。
この場合で、子供が自分で国民年金保険料を払った場合と、親が代わりに国民年金保険料を払った場合とでのそれぞれの税金が安くなる金額を計算します。
子どもが自分で納付した場合、191030×15%=28,654円
親が代わりに納付した場合、191030×30%=57,309円
これだけの差が出てきます。つまり、税制面を考えると子供が自分で年金を払うより親が子供の国民年金を代わりに払ってあげたほうがお得ということになるわけです。
大学生の子供の年金は学生納付特例よりも親が代わりに払うほうがお得?
この考え方を利用すると、大学生などが利用できる「学生納付特例制度」よりも、その分を親が代わりに払ってあげるほうがお得という考え方もあります。
「学生納付特例制度」はあくまでも納付の猶予であり免除ではありません。卒業後にはしっかりと納付する必要があります。その制度を利用するよりも親が当該期間中に子供の代わりに年金を支払い税控除を受ける、そして子供が卒業して社会人になったらその分を親に返すという方法の方が税制面で考えると効率的かもしれません。