裁量労働制の拡大、今国会では断念へ

安倍首相が、平成30年2月28日、裁量労働制をめぐる厚生労働省の調査データに不備があった問題を受けて、今国会で成立を目指す働き方改革関連法案から裁量労働制の適用範囲を拡大する部分を削除する方針を決め、裁量労働制の実態を厚生労働大臣の責任の下に再検討を命じたことを官房長官が平成30年3月1日の午前の会見で明らかにしました。

厚生労働大臣と会談し、残業時間の上限規制、同一労働同一賃金などに関連する8本の法案を束ねる働き方改革関連法案から、裁量労働制の適用範囲の拡大の部分を全面削除することを指示したとのことですが、高収入の一部専門職を労働時間規制の対象から除外する「高度プロフェッショナル制度(いわゆる高プロ)」の創設は維持する方針とのことです。

野党は、高プロの創設にも反対していますので、「裁量労働制だけを外して法案を通そうとするのは姑息(こそく)だ」としています。

今後の動向に注目です。

〔参考〕厚生労働省などから、「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律案要綱(労働政策審議会29.9.15答申)の概要」が示されていますが、先の施行期日の予定の延期に続き、見直しを迫られることになりました。

<働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律案要綱(労働政策審議会29.9.15答申)の概要>
http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12600000-Seisakutoukatsukan/0000190574.pdf

※今回の方針の変更は、上記の資料のⅡ-1中の『企画業務型裁量労働制の対象業務への「課題解決型の開発提案業務」と「裁量的にPDCAを回す業務」の追加』という部分を削除するというものです。