被用者保険の適用拡大に中小企業は難色(全世代型社会保障検討会議)
首相官邸において令和元年(2019年)11月21日に開催された「全世代型社会保障検討会議(第3回)」の資料が公表されました。
今回の検討会議では、中小企業の代表者(日本商工会議所・全国商工会連合会)、労働界の代表者(日本労働組合総連合会)、さらには働き方改革や兼業・副業についての有識者からのヒアリングが行われました。
報道などで、短時間労働者への被用者保険の適用拡大を巡る意見が注目を集めています。
政府は、年金制度の支え手を増やす、多様な働き方に対応するといった目的で、短時間労働者への被用者保険の適用拡大をさらに進めようとしています。
具体的には、その適用拡大の対象となる企業の規模要件(現行は、原則として従業員数501人以上)を緩和する方向で話が進んでいます。
これについて、日本商工会議所は、 次のような理由から、慎重な議論を求めています。
・多様な働き方や女性の社会進出を踏まえ、将来の安心を確保する社会保障制度の構築は大変重要であるが、一方で、社会保険料の半分は、中小企業を含めた企業側が負担しているという実態もある
・適用拡大による、短時間労働者1人あたりの事業主負担は年間約24~25万円(最低賃金を一気に1,000円まで引き上げた場合と概ね同程度のインパクト)
・また、労使合意に基づく任意適用が進んでいないことからも、第3号被保険者による就労調整がさらに進むことが予想され、人手不足を加速させる恐れもある
これに対し、連合は、企業の規模要件を撤廃すべきとしています。
労使で意見が分かれる形となっており、調整は難航しそうです。
詳しくは、こちらをご覧ください。
<全世代型社会保障検討会議(第3回)/資料>
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/zensedaigata_shakaihoshou/dai3/siryou.html