育休でパタハラ 休職無効を求める仮処分を申し立て
「大手証券会社の男性社員が、10月26日、正当な理由なく休職命令を受けたとして、命令の無効を求める仮処分を東京地裁に申し立てた。男性は、職場で育児休業の取得を機に仕事を減らされるなどの嫌がらせ「パタニティー・ハラスメント(パタハラ)」でうつ病を発症し、復職可能と診断を受けた後に休職命令を受けたとたと主張。」という報道がありました。
申し立てたのは、外資系機関投資家向けのセールス業務を担当する同社特命部長(カナダ出身)。申立書によると、育児休暇を取得後の昨年3月以降、ミーティングに呼ばれないなど嫌がらせを受けるようになり、うつ病を発症して今年1月に休職。療養後に復帰しようとしたが、同社は以前のような条件での復職を認めず、10月18日付で休職命令を受けたとのこです。
裁判所がどのような決定を下すのか、注目されます。
〔確認〕パタニティー・ハラスメント……パタニティー(Paternity)は英語で“父性”を意味するもので、パタニティー・ハラスメントとは、男性社員が育児休業をとったり、時短勤務などの育児支援目的の制度を活用したりすることへの妨害、ハラスメント行為を指します。
これに対し、女性社員の妊娠・出産、育児休業の取得等を理由とするハラスメントは、マタニティー・ハラスメントと呼ばれています。
なお、政府は、男性の育児休業の取得率の向上を目指していますが、パタハラは、その阻害要因となりますね。その防止には、男性の育児参加に対する職場、さらには社会全体の理解が必要と言えそうです。
現在、厚生労働省などが主導して「イクメンプロジェクト」、さらには「日本総イクボス宣言プロジェクト」が展開されていますが、このような取組みが、男性でも育児に参加しやすい職場や社会づくりにつながっていくとよいですね。
〔確認〕イクボス……「部下や同僚等の育児や介護・ワークライフバランス等に配慮・理解のある上司」のことです。イクボス宣言は、NPO法人ファザーリングジャパンが行っているもので、イクボスとしての宣言を対外的に行うものです。
詳しくは、こちらをご覧ください。
<イクメンプロジェクト>
https://ikumen-project.mhlw.go.jp/supporter_group/entry/
<「日本総イクボス宣言プロジェクト!!」(ひろがれイクボスの輪)>
http://www.mhlw.go.jp/ikubosu/index.html
ちなみに、仮処分を申し立てた男性が務める大手証券会社は、上記のプロジェクトによる「イクメンサポーター宣言」、「イクボス宣言」をしています。仮処分が認められるようなことになると、宣言の意義に水を差すものとなりますね。