「大手電機メーカーの男性社員5人が、平成26~29年の4年の間に、長時間労働による精神障害や脳疾患を発症し、労働基準監督署に労災認定されていたことが、平成30年9月27日、分かった。そのうち3人は裁量労働制の適用を受けていた。」といった報道がありました。

「大手電機メーカーの男性社員5人が、平成26~29年の4年の間に、長時間労働による精神障害や脳疾患を発症し、労働基準監督署に労災認定されていたことが、平成30年9月27日、分かった。そのうち3人は裁量労働制の適用を受けていた。」といった報道がありました。

裁量労働制の適用をうけていた3人(労災認定は平成27年3月~29年8月)のうち、同社の製作所で勤務していた当時40代の社員は平成28年2月に過労自殺、2人は脳疾患を発症したとのことです。
また、別の製作所で勤務しており過労自殺したの当時20代の社員や、労災認定を公表した社員も、将来的には裁量労働制が適用される可能性の高い業務だったとのことです。

同社は、労災認定とは無関係としながらも、約1万人に適用してきた裁量労働制を平成30年3月に撤廃していますが、実態はどのようなものだったのか? 今一度調査し、原因を究明する必要がありそうです。

裁量労働制については、平成30年6月に成立した働き方改革関連法に、その対象拡大を盛り込む予定でしたが、同制度をめぐる調査結果に異常値が含まれていたといった問題が発覚。その批判を受けて、裁量労働制の対象拡大の部分を法案から削除する事態となりました。
先にもお伝えしたとおり、平成30年9月20日には、「第1回裁量労働制実態調査に関する専門家検討会」が開催され、厚生労働省は、その結果に基づき、来年(2019年)にも、裁量労働制の実態について再調査を行うことを目指しているようです。

このような事案があっても、対象拡大にこだわるのか? 今後の動向に注目です。

〔参考〕裁量労働制

裁量労働制は、簡単に言えば、実際に働いた時間に関わらず一定の時間働いたとみなし、残業代込みの賃金を支払う制度です。

専門業務型(労使協定で導入)と企画業務型(労使委員会を設置して導入)の2種類があります。

ちなみに、上記の事案が起こった企業では、両制度を一定割合ずつ採用していたようです。

裁量労働制の概要は、こちらをご覧ください。

<裁量労働制の概要(厚労省)>
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/roudouzikan/sairyo.html