「事業外みなし労働時間制」不正適用で自販機大手に労基署が指導

「飲料の自動販売機事業大手の子会社が、外回りで飲料を補充する業務を担当する社員を対象として、「事業場外みなし労働時間制」を不正に適用し、違法な残業をさせていたとして、東京労働局から是正勧告と指導を受けていたことが、平成30年3月29日までに分かった。」といった報道がありました。

同制度の適用を受けていた社員と、社員が加入する労働組合が記者会見を開いて明らかにしたもので、同労働局は昨年12月、違法な長時間労働を認定し、事業場外みなし労働時間制は無効として、同子会社に是正勧告と指導を行ったとのことです。
(当該子会社を含む企業グループでは、グループ全体で同制度を導入していましたが、同制度は、今年1月にすべて廃止しているとのことです。)

みなし労働時間制には、「事業場外みなし労働時間制」、「専門業務型裁量労働制」、「企画業務型裁量労働制」がありますが、いずれも、実際の労働時間にかかわらず、「一定の時間、労働したものとみなす」こととする制度です。
そのうち、「事業場外みなし労働時間制」は、事業場外で労働する場合であって、労働時間の算定が困難な場合に、所定労働時間(または労使で取り決めた時間)、労働したものとみなすものです。

具体的には、使用者の具体的な指揮監督が及ばず、労働時間を算定することが困難という場合に限り認められる制度ですが、今回の事案では、携帯電話での業務指示や巡回記録などから、労働時間の把握が可能だったということです。

携帯電話などの普及により、いわゆる営業の外回りなどの業務では、「事業場外みなし労働時間制」を適用できるケースが減ってきているといえそうです。

〔参考〕制度内容の確認はこちらから
<「事業場外労働に関するみなし労働時間制」の適正な運用のために(東京労働局パンフレット)>
https://jsite.mhlw.go.jp/tokyo-roudoukyoku/library/tokyo-roudoukyoku/jikanka/jigyougairoudou.pdf