未払い残業代23億円 大手広告会社が支払いへ

平成27年末の新入社員の過労自殺に端を発した大手広告会社の違法残業事件。その判決が平成29年10月に確定し、法人としての同社に対し、有罪判決が言い渡されました。これにより、刑事事件の手続きは全て終結しました。
同社社長は、労働環境の改善を約束していましたが、その一環といえるでしょうか、同社が「未払いの残業代として、およそ23億円を年内に支給する方向で検討していることがわかった」という報道がされています。

同社は、業務性が高いにもかかわらず、労働時間として申告していなかった場合は、自己申告するよう、社員に指示。その結果を踏まえ、平成27年4月から平成29年3月の間で、業務と認められた労働時間について、年内に、およそ23億円を一時金として支払う方向で検討しているとのことです。
同社は、労働基準監督署から、自己啓発や情報収集の名目で社員が会社に残る場合、業務性が高いものは労働時間と取り扱うよう、指示を受けていたそうです。

「塵も積もれば山となる」といいますが、23億円は巨額ですね。
企業規模にもよりますが、「労働時間として取り扱っていなかった時間が実は労働時間で未払いの残業代が全社員に生じた」なんてことがあれば、企業経営に深刻なダメージを与えることは必至です。
日ごろの労働時間の適正な把握がいかに重要か、肝に銘じておきたいところです。

この違法残業時間などを契機に、厚生労働省は、「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン(平成29年1月20日策定)」を策定し、これに基づき監督指導なども実施しています。各企業は、少なくとも、このガイドラインを遵守する必要があります。今一度確認しておきましょう。

〔確認〕労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドラインのリーフレット
http://www.mhlw.go.jp/kinkyu/dl/151106-06.pdf