大手広告会社の違法残業事件初公判 社長が陳謝 罰金50万円求刑
「大手広告会社による違法残業事件の初公判が9月22日に開かれ、出廷した同社の社長が起訴内容を認め、陳謝。検察側は罰金50万円を求刑した。」という報道がありました。判決は来月6日に言い渡されることになっています。
この事件、当初は、公判を開かず、書面審理のみで罰金刑を科す検察側の略式起訴で終わると思われましたが、簡易裁判所が「略式不相当」とし、今回の正式裁判となりました。
起訴状によりますと、本社の部長3人は平成27年10~12月、自殺した社員を含む社員4人に1か月の残業時間の上限を最大で約19時間超えて働かせたとされています。
また、同社の労働組合は社員の過半数で組織されておらず、会社と同労働組合との間で締結されていた36協定(残業時間に関する労使協定)は無効だったが、部長3人は有効と誤信していたということです。
部長3人は起訴猶予処分とされ、法人としての同社が裁かれることになりました。
同社すでに、取引の停止、イメージダウンなど、罰金50万円などをはるかに超える社会的制裁を受けています。
この事件は、政府の「働き方改革」にも影響を与え、大きな社会問題になりました。
昨年暮れから「『過労死等ゼロ』緊急対策」が講じられ、「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」の策定、労働基準関係法令違反で書類送検された企業名の公表(いわゆるブラック企業リストの公表)などが行われていますが、それも、この事件が契機といえます。
この事件が、多くの企業経営者に警鐘を鳴らしたことになりますね。
今後、このような事件が起こらないように、政労使が一体となった取り組みが求められます。働き方改革関連法案の行方が気になるところです。
〔参考〕現行の36協定に関するリールレットなど(東京労働局)
http://tokyo-roudoukyoku.jsite.mhlw.go.jp/jirei_toukei/pamphlet_leaflet/roudoujikan_kyujitsu_kyuka/_83690.html
※大手広告会社の違法残業事件では、労働組合が問題になりましたが、労働組合がない会社における過半数代表者の選出に注意が必要です。
〔参考〕最新の労働基準関係法令違反に係る公表事案(9月15日更新)
http://www.mhlw.go.jp/kinkyu/dl/170510-01.pdf
※このような形で企業名などが公表されています。