違法残業 新基準で初の企業名公表

「ある都道府県労働局が、9月4日、1か月に80時間を超える違法な時間外労働を、4事業所のトラック運転手84人にさせたとして、当該運送会社に対し是正指導をし、企業名を公表した」という報道がありました。
今年1月、『「過労死等ゼロ」緊急対策』の一環として、「是正指導段階での企業名公表制度の強化」が図られましたが、今回の企業名の公表は、新基準での初の企業名の公表となります。

厚生労働省では、同緊急対策の一環として、いわゆる「ブラック企業リスト」を公表していますが、これは、労働関係法令違反で「書類送検」された企業を対象とするものです。
今回、企業名を公表された運送会社は、書類送検された訳ではありませんが、是正指導段階での企業名公表制度の新基準に該当していたということです。
<是正指導段階での企業名公表制度の新基準>
簡単にいえば、1か月に80時間〔従来の基準では100時間でした。〕を超える違法な時間外労働が、1年間に2事業所〔従来の基準では3事業所でした。〕以上で認められた場合、本社に指導を実施し、是正されない場合に企業名を公表(実際の基準はもう少し複雑です)

当該運輸会社は、今春に新基準を超える時間外労働を指摘され、所轄の労働基準監督署の行政指導を受けていたとのことですが、是正されなかったため、企業名の公表に至ったようです。
会社社長らは、「人手不足で運転手の確保が難しくなるなか、それに見合った形で仕事を減らせなかった。取引の調整など、対策を進めたい」とコメントしたそうです。

書類送検はされなくても、今回のように企業名を公表され、新聞などで取り上げられることがあるということは、頭の片隅に留めておきたいですね。

「是正指導段階での企業名公表制度の強化」などについて、詳しくは、こちらをご覧ください。
<「過労死等ゼロ」緊急対策/強化の概要が示されています>
http://www.mhlw.go.jp/kinkyu/dl/151106-03.pdf
<違法な長時間労働や過労死等が複数の事業場で認められた企業の経営トップに対する都道府県労働局長等による指導の実施及び企業名の公表について/詳細な通達>
http://www.mhlw.go.jp/kinkyu/dl/151106-05.pdf