違法な時間外労働や過労死 報道は後を絶たず

働き方改革が注目される中、有名企業における違法な時間外労働、過労死といったニュースも後を絶ちません。

●大手旅行会社が従業員に違法な長時間労働をさせていたとして、東京労働局の過重労働撲滅特別対策班(通称かとく)が、労働基準法違反の疑いで同社を強制捜査。東京労働局は法人としての同社と労務担当幹部の書類送検に向け、捜査を進めている。
・同社では、複数の店舗で、事前に労使協定で取り決めた時間外労働の上限を超える時間外労働をさせていた疑いがあるとのことです。同社に対しては以前から労働基準監督署が何度か是正勧告を出していたが、改善が見られないため強制捜査に踏み切ったとされています。

●大手電機メーカーの下請け会社の契約社員が、夜勤明けの帰宅途中に意識を失い、くも膜下出血で死亡。管轄の福井労働基準監督署は長時間労働による過労が原因とし、今年1月31日付で労災認定していた(2月9日に遺族側が会見を開き判明)。
・死亡した契約社員は、午後11時~午前7時15分の雇用契約でしたが、早出や居残りが常態化し、亡くなる前の2か月間の時間外労働はタイムカードの記録では83時間と81時間だったとのことです。下請け会社は、契約社員の勤務時間を調整するため、残業代を翌月に繰り越す処理などをしていたようで、遺族の代理人である弁護士は、「タイムカードで労働時間を把握しながら無理な労働を続けさせていた。労務管理が極めて悪質。系列のトップ(大手電機メーカー)も下請け会社の社員の労働環境に配慮すべきだ」と指摘したそうです。遺族は、下請け会社に対し損害賠償請求を検討しているとのことです。

働き方改革として、「同一労働同一賃金」も重要かもしれませんが、こういう報道が後を絶たないことを考えると、やはり、「時間外労働の上限規制」が最重要・最優先と感じます。

政府の働き改革実現会議などの動きをみると、上限を設けることは間違いないという状況ですが、「具体的に何時間に設定するか」が最大のヤマ場ですね。今後の動向に注目です。

現時点での政府の方針
・36協定で定める時間外労働の上限を、原則として「月45時間、年360時間」と規定。
・その上で、企業の繁忙期に対応できるよう、1年のうち6か月までは例外を設け、「月100時間」、「2か月の月平均80時間」までの時間外労働を認める。
・その場合でも、時間外労働を「年720時間」、「月平均60時間」以内に抑えるよう義務づけ。違反に対しては、罰則を適用する。